ES-335TDC / 1972

1958年にリリースされて以降常に高い人気を誇る"セミアコ”代名詞モデル。ロック・ブルースを筆頭にあらゆるジャンルで著名なトップギタリストに愛用され続け、今尚人気の衰えないモデル。登場以来、各所の変更を重ねながら、そのバリエーションも楽しめるES-335。本器はセンターブロックの空間が広くなる60年台後半を経て、71~72年の短い間だけ採用されたエンボスピックアップカバーを搭載した1本。ラージヘッド、14度の浅いヘッド角、約40・ナローピッチのナット、ボリュート付き３ピースマホガニーのネック、スモールブロックポジションマーク、ショートピックガードにブランコテールピース採用のハードウェアはクロームメッキ仕上げで、60年台前半の王道スペック・ルックスとは異なる点が多いものの、この時期だけの特徴が大きな魅力の仕様です。もともとストップテールピースのスペックで登場したES-335、センターブロックもピックアップからの配線を通すだけの穴が開いたタイトな造りで、ソリッドギター的な設計思想が強く出ていたものでした。しかし当時のマーケットにおいては、やはりそのfホールを有した外観故か、アーチトップギターとしての期待が少なくなかったことから、後のスペックにおいてブランコテールピースが採用されることになるという珍しい変遷をたどっています。 　一般的にセンターブロックの空間の広さから、よりエアー感・ホロウ感が大きな特徴とされる当スペック。また前述のヘッド角の浅さや、ブランコテールピース採用により、ブリッジへの弦の侵入角も浅くなり全体的にローテンションで甘い響きの鳴り方ですが、細くタイトな設計のネックの影響や後期ステッカードナンバードらしいバランスの良いパワフルな出力も相まって、楽しい歯切れの良さも併せ持っております。加えて、これもまたこの時期のみの特徴として、頂点が平らなブラスサドルが採用されており、絶妙にアタックの野太い発音、極めて軽くファズのアタックの潰れ方のような心地の良い挙動があり、引き込むほどに味わい深い独特のサウンドキャラクターが大変魅力的です。 　コンディションに関しまして、ペグが近年製のクルーソンに変更されている他、ポット4点も交換。80年台のポットデイトより購入後10年程のタイミングでメンテナンスがされたものと思われます。勿論ステッカードナンバードPAFはオリジナル、”ブラックビューティ”コンデンサもオリジナルサーキットの物を取り付けなおしたものと判断しております。リフレット、リナットがされており、ナットはナイロン系素材で、フレットはこの年代らしさのある幅広で多少平ための物を採用しております。70年台にみられるフレットレスワンダーのような低さではなく、ある程度の高さがありますが、現代的なクラウンにしっかり山の出た形のものに比べ横方向の運指の滑らかさが良く、オリジナルのキャラクターを留めることに徹した様子が見てとれる好印象の作業です。その他各所の塗装剥がれ、ウェザーチェック、細かな打痕等は数多くありますが、構造上の瑕疵となるダメージはなく抜群の雰囲気です。塗装はこの年代特有の軟化しやすい傾向がありますので、スタンドを使用する際などはあて布等の対応をすることを推奨いたします。 Condition:EX+ Weight:3.56kg Top:Laminated Maple Side:Laminated Maple Back:Laminated Maple Neck:3piece Mahogany Fingerboard:Rosewodd Bridge:Tune-O-Matic Machine Head:KLUSON Double Ring / Changed Fingerboard Inlay: Pick Guard:Black/White 4PR Pick up:Sticker Numbered PAF Nut width:39.9mm Scale:628.65mm Case:Original Hard Case