1960年代後半に製造されたとみられるエンプロイーメイド。本来"MARTIN"ロゴがマウントされていない物が一般的ですが、どのような経緯でヘッドデカールがつけられたかは不明です。従業員独自の発想で手掛けられたエンプロイーモデルのため、一部改良されたブレイシング形状やナット幅形状など独自の加工は見られますが、指板のエッジ処理やサイドの割れ止め素材、同時期マーティン社特有のフィニッシュの曇りなど、その他各所で違和感なく、マーティンのそれと判断できると思います。ドレッド―ノートボディーをベースとしたシェイドトップカラーフィニッシュ、スプルーストップ、重厚なハカランダサイドバック、エボニー指板&ブリッジ、マホガニーネック、ドット指板ポジション、白黒トリム&ロゼッタ、ホワイトセルバインディング、USAグローバーミルクボトルロトマチックチューナー、ピックガードはオーバーサイズのブラックガードに交換、41mmナットワイド,ノンスキャロップドXブレイシング、ローズウッドブリッジプレート(大きくない)にボールエンドがかかる部分には真鍮のプレートがマウントされています。弾け感のよい立ち上がり、重厚でやや粘りのあるサウンドは通常のD28に比べ、ブレイシング質量を少なくしている部分が影響している印象。D-35とD-28の60sのサウンドをミックスしたようなハイブリッドなサウンド感です。大変程度がよくネックは綺麗なストレート、日本人好みの細身のグリップでサドルマージンも高く余裕を持たせており、現状も大変弾きやすくセットアップされています。バックやや6弦側ボトム手前付近に指でなぞって引っかかる塗装のクラックが見られますが、溶剤を垂らしてのチェックでも木部までは浸透しておらず、表面、裏面共にグルーの散布もないため割れではありません。トップの下部ボトム付近にも小さな米粒ほどの地肌が見える打痕がありますが軽微な打痕で手直しの必要はありません。その他はまばらに塗装のチェックが見られますが塗膜もしっかりとキープされており、とても良いコンディションをキープしています。ハカランダモノの珍しい一品をお探しの方にはぜひお勧めしたいコレクタブルな一品。汎用ハードケースが付属します。
Condition:EX++
Top:Solid Spruce
Side:Solid Jacaranda
Back:Solid acaranda
Neck:Mahogany
Fingerboard:Ebony
Bridge:Ebony
Machine Head:GROVER 102C USA
Fingerboard Inlay:Dots
Rosette:B&W
Binding:White
Pick up:none
Nut width:41mm
Scale:648mm
Case:Hard Case