スペインを代表する名工の一人、マルセロ・バルベロ・イーホより教えを受けた岐阜県にて工房を構える製作家"古田 勇吉"。元々は電子関係の会社へ就職、その傍らでクラシックギターの演奏を学んでいました。その後、ヘスス・ベレサール・ガルシア作のギターを手にしたことによりギター製作の道へと転向を決意。アルカンヘル・フェルナンデスやマルセロ・バルベロ・イーホが在籍したスペインのアルカンヘル工房へ出向き弟子入りを志願。留学準備の為、一旦帰国し1989年に再度工房を訪れた際、多忙により一度は断られますが、同年秋ごろに悲願の弟子入りを果たします。1992年まで同工房にてマルセロ・バルベロ・イーホから製作の基礎を学び、日本へ帰国。岐阜県に自身の工房を開きます。その後2003年からの2年間、ギター文化館にて工房を構え製作、2005年から2009年までアルカンヘルギター館工房で製作を続け、同年秋ごろより新たな工房を岐阜に構え製作されています。本器は現在の工房へ移った後の作品、目幅の整ったスプルースをトップに、端正な杢目が美しいハカランダをサイド&バックに使用した2010年製USED品。セドロ棹、黒檀指板、ロースウッド下駒、ナット幅約52mm、弦長650mm。ボディバインディング縁やバック面、ヘッド、下駒飾り板には白、緑、橙の染木のラインデザインが施され、一貫したコンセプトを感じます。マルセロ・バルベロ・イーホから学んだ『完全手作り』の製法で製作家の中でも一線を画すサウンドキャラクターが魅力の本器。スペイン作らしさ感じる大音量、力強く鳴らしても潰れない明瞭な音粒。ハカランダの堅牢なトーンを残しながら躍動感のある立ち上がりが特徴的です。各弦のバランス、分離感も素晴らしく、遠達性にも優れた本器は正統派クラシックはもちろんのこと、ジャズやボサノバなどナイロンアレンジのプレイスタイルでもその個性を大いに発揮します。型枠を使用せず、職人の研ぎ澄まされた感覚で製造される手法。その製造上、材を湾曲させた際に発生するうねりをあえて研磨せずボディに組み込み、本器にもサイドの杢の筋に沿って材の凹凸が見られますが構造上は問題なく、ご使用にも支障はございません。全面ラッカーフィニッシュへと手が加えられておりますが、言われなければ大きく違和感を感じさせないほどのキレイな仕上がり。トップ面2弦のブリッジ下部に弦飛び跡、同じくセンターボトム付近に僅かな打痕の跡がございますが、上記のラッカーフィニッシュの際に段差を整えられており目を凝らせば分かる程のとても綺麗な仕上がりです。その他、特筆するような使用感は見られず10年強の経過を感じさせない美しい状態が保たれています。ネックコンディションも良好、標準的なセッティング、比較的薄く平らなネックシェイプで手馴染みの良い1本です。年間製作本数も少なく、市場でもなかなか見かけない希少な国産手工ギター。多彩なジャンルを1本でこなせる本格クラシックギターをお探しの方、お手持ちのギターのグレードアップをご検討中の方は是非お試しください。汎用ハードケースが付属します。
表板:松
側板:ハカランダ
裏板:ハカランダ
指板:黒檀
下駒:ローズウッド
指板幅:52mm
弦長:650mm
汎用ハードケース付属