アコースティックギターの歴史において、多くのプレイヤーや楽器ファンの憧れであり、ラグジュアリー・ギターの最高峰として君臨するMartin D-45。戦前期1933年から1942年までの短い期間でわずか91本のみ製作されたオリジナル品は伝説のギターです。現代に至るまでMartin社も含め、多くのビルダーがその素晴らしさを認め、尊重しながらも、さらに良いものにしたいとそれぞれの解釈による改良を加えながら、リイシューされてきました。世界屈指のMartin研究の第一人者でもある塩﨑雅亮 氏(エムシオザキ弦楽器工房)も同じく、独自の解釈による改良を加えた、Martin Guitarのリイシューを行ってきました。今回のM.Shiozaki(エム・シオザキ) D-5 1939 Agedは、氏が憧れ楽器製作をするきっかけとなり、長年にわたり研究と試行錯誤を繰り返した集大成となる、45のパーフェクト・リイシュー・モデルです。トリファイド・アディロンダック・スプルーストップ、ハカランダサイド&バック、ホンジュラス・マホガニー・ネック、エボニー指板&ブリッジ、ロングサドル、Waverly4060Gチューナー、ハカランダヘッドプレート/アバロントーチインレイ、ヘキサゴン指板インレイ、塗り込みべっ甲柄セルロイドピックガード、メキシコ貝&日本鮑の45スタイル・ロゼッタ&トリム、アイボロイド・バインディング、モザイクバックストリップ、スチールTバーネックロッド、ニカワ接着、リアシフテッド・スキャロップド・Xブレイシング。木材の材質の密度や重量からなる音色を考慮し、本モデルの表板とブレーシングにはトリファイド・アディロンダック・スプルースを使用、手にした際のリアルな重量感はもちろん、1939年のリアシフト・ブレーシングに変更となった時期に、同時に厚みが薄くなったトップ厚も忠実に再現。弦1本の振動レベルでもボディー全体に伝わるバイブレーションが強く、音域帯で表しきれない空気の振動があります。一般的なフォワードシフトとリアシフトの違いを逸脱したレベルでこれほどまでの低音の抱擁感を持ち合わせ、さらにリアシフトの特徴となる中高音の分離感を共存させることが出来るのかと感服します。ブレイシングと表板の配置や形状はもちろん、響きに大きく影響する接着面の形状や加工方法も同年のオリジナル品の個体から緻密にデーターを採取した裏付けから行われており、接着するニカワの固さにいたるまで、手落ちのない手法を施されています。2021年より導入されたミントコレクションエイジド・フィニッシュは、傷などの加工はせずサウンド面に大きく影響するウェザーチェックと杢目に馴染むような質感がヴィンテージの風合いを醸しており、これまでにあるスペック・リイシューとは一線を画すより特別感のある仕上がりとなっている部分も見逃せません。ここまでの再現度は実物個体からの裏付けも含めて世界レベルでもまず見当たらないでしょう。同時に製作された1938年仕様と合わせてそれぞれ1本のみ製作された至高の一品です。
Condition:NEW
Top:Solid Torrefied Adirondack Spruce
Side:Solid Jacaranda
Back:Solid Jacaranda
Neck:Honduras Mahogany
Head Top:Jacaranda with Abalone Torch Inlay
Fingerboard:Ebony
Bridge:Ebony
Machine Head:Waverly 4060G
Fingerboard Inlay:Abalone Hexagon Inlay
Rosette:Red Abalone
Binding:Red Abalone&Japanese Abalone Trim/Ivoroid binding
Pick Guard:Tortoise Color
Pick up:none
Nut width:43mm
Scale:645.2mm
Case:Original Hard Case