2018年、Paul Reed SmithとPRSのアンプデザイナー Daug Sewellは、60年代後半、Jimi Hendrixが個 人的に所有していたヴィンテージアンプの解析を特別に許可されました。そして、そのアンプの回路を元 に、"Authentic Hendrix" Touring Circuitが誕生しました。
解析開始から発売まで長い歳月を経て完成したPRS HDRXシリーズは、妥協なきクラフトマンシップの 元、当時世界中の人々を魅了した、あの伝説的なサウンドを現代に甦らせました。
PAUL REED SMITH AND DOUG SEWELL
2006年、Paul Reed Smithはダラスで行われたヴィンテージギターショーでテキサスのアンプビルダーDoug Sewellと出会いました。当時、Paul’s bandの演奏が予定されており、Paulは使用するアンプを探していました。そこで紹介されたのがSewellでした。
「彼のアンプの音が素晴らしくて、挨拶もそこそこに、私たちはショーで使う予定だったアンプの配線に手を加えていました。- Paul Reed Smith」
出会ってから程なくして、DougはPRSでPaulと働くため、メリーランドへ移住しました。
以来、SewellとPaulはアンプ回路のプロトタイプを組み上げては、そのサウンドを確認し、改善点を見つけることを何年も繰り返し、ついにHDRXアンプを完成させました。常に目指すゴールは、他の楽器作りと変わることなく、ミュージシャンのために使いやすい楽器を作り出すことでした。
「アンプデザイナーとして、このアンプの開発プロジェクトに関わる機会を得られたことは、とても光栄なことでした。
このアンプに対して、私は初日から最大限の敬意をもって取り組んできました。そしてこのプロジェクトは、発売する期日までに完成させるというスケジュールありきではなく、このアンプの開発に取り組むことの重要性にこそ、大きな意義がありました。技術的かつサウンド的な観点から、設計段階では、トランスのブランドやデザイン、パワー管のブランドやモデル、プリ菅、コンデンサーのブランドや種類、シャーシの素材に至るまで、ありとあらゆるパーツの選択肢や組み合わせを検討しました。常に一番大事なのは、どれだけ時間がかかろうとも、このアンプに最適なパーツを選択し、可能な限りオリジナルに忠実なサウンドに仕上げることです。また、アンプのデザインを進めながら、我々は、Paul Reed Smithを始めとする、素晴らしい音楽的感性と経験をもったアーティスト達と回路を検証していきました。最終的なデザインは長い時間をかけてようやく完成しましたが、このアンプには音楽の歴史が反映されていると思います。自分の力を全て出し切った結果、Jimi Hendrix氏が生前アンプに求めていたサウンドエッセンスをこのアンプにも詰め込むことできたと思います。」
- Doug Sewell / PRS Amp Designer
【TECHNICAL SPECIFICATIONS】
Power & Preamp Tubes
真空管の組み合わせを厳選した結果、HDRXアンプには、New Sensor EL34EHのマッチドペアのパワー管、そしてプリ管にはJJ ECC803Sが搭載されています。各プリ管は下記の通りに アサインされています。
V1 : Input
V2 : Cathode Follower V3 : Phase Invertor
V3 : Phase Invertor
Circuit & Power Supply
HDRXの回路は、PRSが解析したJimi Hendrix本人所有のアンプ回路を元に設計され、更にこのアンプの開発にあたり、数多くのヴィンテージアンプがリファレンス用として使用され、そ の試行錯誤の結果、遂に「あのサウンド」を手に入れることができました。 加えて、 HRDX100と50では、出力トランスのサウンドをオリジナルに近づけるため、独自のマッチン グ回路を使用しています。 更にHDRX50には、出力100Wのヴィンテージアンプと同等の電源が使われており、それにより、通常の50wのアンプよりも遥かに100wのニュアンスに近いサウンドになる事を可能にしました。更に、この独自に設計された電源回路により、驚異的な低ノイズも実現しています。
Output Transformer
本機には、カスタムメイドのStraight Edge出力トランスフォーマーが搭載されています。数多い選択肢の中から厳選されたメーカーにおいて、設計及び製造されたこのトランスにより、60年代後半に使われていたオリジナルのサウンドを、見事に再現する事ができました。
Chassis
PRS HDRXアンプは、アーチストのツアー使用なども前提にして、長時間の使用における耐久性を考慮し、あえてアルミニウムではなく、0.0060”のスチール製のシャーシを採用していま す。また、使用されるスチールには、全て腐食を防ぐ処理が施されています。
Circuit Boards
2オンス銅を使用した2mm厚の両面スルーホール基板を使用し、オリジナルアンプとの一貫性、 グランドの落とし方、耐久性の向上を考慮し、独自のタグボード構造が採用されています。
Built with Serviceability in Mind*
バイアスジャックとバイアス調整ノブが背面パネルにレイアウトされているため、シャーシを取り出さずにパワー管にかかっている電圧の数値(mV)を簡単に測定し、真空管の状態を確認することができます。なお、PRSではマッチドペアのパワー管を採用しているため、バイアス調整コントロールを回すと、全てのパワー管に有効となります。
*パワー管の適正電圧は30mVあたりになりますが、バイアス調整やパワー管の交換を行う際は、必ず専門の技術者に依頼してください。または、購入された販売店へ事前に必ずご相談ください。
*電源コード、ユーザー登録書
SPECIFICATIONS
GENERAL
Available Configurations : Head Only
ELECTRONICS
Wattage : 100
FRONT PANEL CONTROLS
Channel 1 Controls
- Bass Volume with common Presence, Bass, Middle, Mid Gain (on/off), Treble, Lead Volume, Bright (Off, Bright 1, Bright 2)
Channel 2 Controls
- Lead Volume with common Presence, Bass, Middle, Mid Gain (on/off), Treble, Bright (Off, Bright 1, Bright 2), Bass Volume
BACK PANEL FEATURES
Inlet : Fused Power Inlet (IEC)
Bias : Adjustable
Extension Speaker Jacks : 5
Ohm Switching : (2) 4 ohm, (2) 8 ohm, (1) 16 ohm
HARDWARE
Covering : Black Tolex
Piping : Black
Output Transformer : Straight Edge 100 Watt Output
TUBES
Power Tubes : 4x New Sensor EL34EH
Preamp Tubes : 3x JJ ECC803S
PREAMP TUBE POSITIONS & FUNCTIONS
V1 : Input
V2 : Cathode Follower
V3 : Phase Inverter
MEASUREMENTS
Amp Width : 21.5"
Amp Depth : 10"
Amp Height : 10"
Amp Weight : 40.0 lbs