日本を代表するベテラン製作家、"黒澤澄雄"氏の後継者である"黒澤哲郎"氏。スペインでマリアノ・テサーノス、テオドロ・ペレスに師事し、グラナダの名工アントニオ・マリンの工房で塗装技術を学ぶなど、本場スペインの製法を身の上にして伝統に則ったギターを生み出します。海外からの評価も高く、国内でもトップクラスの製作家のひとりと言えます。本器は高級モデルの"Especial"。2003年製のUSED品です。ドイツ松単板表板、中南米ローズウッド単板側&裏板、黒檀指板、ローズウッド駒、ゴトー製ゴールドペグ、ファンブレイシング、セラック塗装、弦長650mm。この個体で特徴的なのはサウンドホール内のラベルが2つある事。製作時に貼られた”澄雄氏の息子”名義のものと、後年になって貼り付けられた”哲郎”氏ラベルが同時に存在する個体です。哲郎氏に確認したところ後年リペアの際に当時のオーナー様から頼まれて貼り付けたとのこと。初期ラベルと後年のラベルを見比べられる貴重な1本です。自身の父澄夫氏の元で学び、本場スペインで新たな教えや気付きを得て、それら全てを糧にギターを創る哲郎氏。スペイン的な深いサウンド、切れ味の良いカラッとした独特の響きを引継ぎ、日本的な輪郭のハッキリとしたサウンドを併せ持ちます。本器ESPECIALは巨匠トーレスの構造を参考にして力木配置を見直したモデル。単音での分離の良さや遠達性を重視した設計です。タッチの感覚がそのまま前に飛び出してくるようなレスポンスの良さを持ち、輪郭もハッキリとした出音。音色のバランスも良く、深く重みのある低音成分に澄み渡った高音成分と幅広いレンジ感で響いてくれます。表情も多く表現力の高いギター、演奏で出来ることの増える弾きごたえのある1本です。ネックヒール付近のボディサイドにストラップを付けるためにエンドピンが取り付けられています。過去にブリッジを貼りなおしたのか、ブリッジ縁の塗装が薄く剥がれていますが、現在ではブリッジ剥がれなども無く使用する上で問題はございません。その他ボディショルダー箇所に僅か爪が当たった跡など見られますが、全体を通して使用感の少ないと言えるコンディションを保たれた本器。ネックコンディションは問題なくサドル残りも充分、演奏性良好な1本です。国内トップクラスの製作家が創る良質な国産クラシックギター。本場の風合いを感じられるサウンドは必聴です。ぜひご体感ください。
汎用のハードケースが付属します。

表板：ドイツ松(ジャーマンスプルース)
側板：中南米ロースウッド
裏板：中南米ロースウッド
指板：黒檀
下駒：ローズウッド
指板幅：51mm
弦長：650mm
汎用ハードケース付属